<登場人物・キャスト>
語り手:奈良岡朋子/おしん:田中裕子/浩太:渡瀬恒彦/庄治:吉岡祐一/とら:渡辺えり子/みつ:古坂るみ子/正助:小林徹也/こう:鍵本景子/ふじ:泉ピン子/作造:伊東四朗
<あらすじ>
父危篤の知らせを受けておしんが帰った山形の実家は、昔とは様子が違っていた。新しい家が出来上がり、兄の庄治に嫁が来ていた。初めて他人が入った家は、おしんにとって心の冷えるようなことばかりであった。その中で父の作造はひっそりと病んでいた。
おしんは作造の枕元で語りかける。
「父ちゃん、新しい家の新しい畳で寝ろ。みんなで運ぶからな」
「ええんだ。あのうちはな、庄治がこのうちば継いで嫁が来てくれたら、それで建てた甲斐あったんだ」
「ほだなバカなこと」
「俺は、このうちが好きだから……。このうちで生まれて育って、お前達のじんちゃんもばんちゃんもみんなこのうちで、ここで死んだんだ。俺のうちはここだ」
「んでも」
「おしん。お前には一番苦労させたけんど、新しく建ったうちはお前達のうちでもあるんだぞ。これで母ちゃんも安心だ。おしん、ほんてんありがでえと思ってる。俺はもういつ死んだってええ。やるごとはやったんだがら。お前に一言、礼と詫びば言って死にたかったんだ。んでもこうして会えたんだ。何にも思い残すことはねえ」
「そんなこと……父ちゃんにはこれから楽してもらいたい。早ぐ良くなって!」
「俺の体は俺がよーぐ知ってる。みつも正助もこうも来てくれた。医者に言われてふじが呼んだんだべ。ただなぁ、みつも奉公先で歳取って、23にもなってまだ嫁さも行げねんだ。お前も働いてばっかりいたら、行き遅れるんでねえがって、それがな……。せめてみつとおしんの祝言は見届けたかったのに、それもこの俺が……。おしんが行き遅れたら俺のせいだ。それだけが心残りだぁ」
「お父つぁん、あんまり話すると体にこたえるがら……」
ふじがそう言って枕元へ寄ってきた。
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語り手:奈良岡朋子/おしん:田中裕子/浩太:渡瀬恒彦/庄治:吉岡祐一/とら:渡辺えり子/みつ:古坂るみ子/正助:小林徹也/こう:鍵本景子/ふじ:泉ピン子/作造:伊東四朗
<あらすじ>
父危篤の知らせを受けておしんが帰った山形の実家は、昔とは様子が違っていた。新しい家が出来上がり、兄の庄治に嫁が来ていた。初めて他人が入った家は、おしんにとって心の冷えるようなことばかりであった。その中で父の作造はひっそりと病んでいた。
おしんは作造の枕元で語りかける。
「父ちゃん、新しい家の新しい畳で寝ろ。みんなで運ぶからな」
「ええんだ。あのうちはな、庄治がこのうちば継いで嫁が来てくれたら、それで建てた甲斐あったんだ」
「ほだなバカなこと」
「俺は、このうちが好きだから……。このうちで生まれて育って、お前達のじんちゃんもばんちゃんもみんなこのうちで、ここで死んだんだ。俺のうちはここだ」
「んでも」
「おしん。お前には一番苦労させたけんど、新しく建ったうちはお前達のうちでもあるんだぞ。これで母ちゃんも安心だ。おしん、ほんてんありがでえと思ってる。俺はもういつ死んだってええ。やるごとはやったんだがら。お前に一言、礼と詫びば言って死にたかったんだ。んでもこうして会えたんだ。何にも思い残すことはねえ」
「そんなこと……父ちゃんにはこれから楽してもらいたい。早ぐ良くなって!」
「俺の体は俺がよーぐ知ってる。みつも正助もこうも来てくれた。医者に言われてふじが呼んだんだべ。ただなぁ、みつも奉公先で歳取って、23にもなってまだ嫁さも行げねんだ。お前も働いてばっかりいたら、行き遅れるんでねえがって、それがな……。せめてみつとおしんの祝言は見届けたかったのに、それもこの俺が……。おしんが行き遅れたら俺のせいだ。それだけが心残りだぁ」
「お父つぁん、あんまり話すると体にこたえるがら……」
ふじがそう言って枕元へ寄ってきた。
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