<登場人物・キャスト>
語り手:奈良岡朋子/おしん:田中裕子/たか:渡辺美佐子/豊:田中世津子/その:真野ゆうこ/袖:木瓜みらい/けい:島村美妃/夏:富沢美智江/りつ:名川忍/客:金子勝美・三沢もとこ・立見めぐむ・芦沢孝子/郵便配達:松田浩志/男たち:伊吹勝・瀬戸内甲斐/ふじ:泉ピン子/みの:小林千登勢/くに:長岡輝子
<あらすじ>
おしんがたかの家へ奉公してから、いつか2年の歳月が流れていた。おしんは相変わらず下働きで、客の髪に触る機会を与えられず、18の娘盛りをただ働くだけの毎日であった。
蝉が鳴いている。
「おしん! ご不浄が汚れてるよ!」
夏からきつい口調で怒鳴られた。年季が違うとはいえ夏とおしんとは同い年なのに、夏がおしんのことをアゴでこき使うことにりつは憤りを隠せない。
「あの時やめてりゃ良かったのよ、そしたらおしん姉さんなんてとっくに梳(す)き手になれてたし、あんな人に大きな顔されることもないのにさ」
「おりっちゃん、お店」おしんはやんわりとりつをたしなめる。
いつまでこんな日が続くのか。さすがのおしんも、ここではまるで時間の止まっているような同じ日々の繰り返しに、ふと焦りを覚える時もあった。が外では、今大きく何かが変わろうとしていた。そして、髪結の世界も例外ではなかった。
今日は師匠のたかと袖が出髪(でがみ)で出ている。暑いと外出が億劫になる客が多いようである。
「この暑いのに、何の因果でこんな頭結わなきゃならないのかしらと思うわね」
そう言って客の一人が笑う。
と、そこへ洋服の客が入ってきた。けいが担当する。
「急いでるの、どんな頭でもいいわ。簡単に結ってちょうだい」
「簡単にって……」
「ほらぁ、このごろ流行ってるでしょ、ハイカラなのがさ。大正巻きとか何とか。任せるから。なるべくなら誰も結ってないようのがいいわね。コテでさ、ウェーブっていうの? 波みたいな癖つけるのもいいわね」
困惑して豊の方を見るけい。豊が毅然と言い放つ。
「せっかくですが、うちは日本髪だけで洋髪はいたしておりませんので」
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語り手:奈良岡朋子/おしん:田中裕子/たか:渡辺美佐子/豊:田中世津子/その:真野ゆうこ/袖:木瓜みらい/けい:島村美妃/夏:富沢美智江/りつ:名川忍/客:金子勝美・三沢もとこ・立見めぐむ・芦沢孝子/郵便配達:松田浩志/男たち:伊吹勝・瀬戸内甲斐/ふじ:泉ピン子/みの:小林千登勢/くに:長岡輝子
<あらすじ>
おしんがたかの家へ奉公してから、いつか2年の歳月が流れていた。おしんは相変わらず下働きで、客の髪に触る機会を与えられず、18の娘盛りをただ働くだけの毎日であった。
蝉が鳴いている。
「おしん! ご不浄が汚れてるよ!」
夏からきつい口調で怒鳴られた。年季が違うとはいえ夏とおしんとは同い年なのに、夏がおしんのことをアゴでこき使うことにりつは憤りを隠せない。
「あの時やめてりゃ良かったのよ、そしたらおしん姉さんなんてとっくに梳(す)き手になれてたし、あんな人に大きな顔されることもないのにさ」
「おりっちゃん、お店」おしんはやんわりとりつをたしなめる。
いつまでこんな日が続くのか。さすがのおしんも、ここではまるで時間の止まっているような同じ日々の繰り返しに、ふと焦りを覚える時もあった。が外では、今大きく何かが変わろうとしていた。そして、髪結の世界も例外ではなかった。
今日は師匠のたかと袖が出髪(でがみ)で出ている。暑いと外出が億劫になる客が多いようである。
「この暑いのに、何の因果でこんな頭結わなきゃならないのかしらと思うわね」
そう言って客の一人が笑う。
と、そこへ洋服の客が入ってきた。けいが担当する。
「急いでるの、どんな頭でもいいわ。簡単に結ってちょうだい」
「簡単にって……」
「ほらぁ、このごろ流行ってるでしょ、ハイカラなのがさ。大正巻きとか何とか。任せるから。なるべくなら誰も結ってないようのがいいわね。コテでさ、ウェーブっていうの? 波みたいな癖つけるのもいいわね」
困惑して豊の方を見るけい。豊が毅然と言い放つ。
「せっかくですが、うちは日本髪だけで洋髪はいたしておりませんので」
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