<登場人物・キャスト>
語り手:奈良岡朋子/おしん:田中裕子/たか:渡辺美佐子/豊:田中世津子/その:真野ゆうこ/袖:木瓜みらい/けい:島村美妃/夏:富沢美智江/りつ:名川忍/ふじ:泉ピン子/りき:渡辺富美子/庄治:吉岡祐一/作造:伊東四朗/圭:大橋吾郎/おしん:乙羽信子
<あらすじ>
おしんが入り口に花を生けていると、袖が起きてきた。花も買うと高いので、アザミやなでしこなど、日本堤という地区で摘んできたものである。もう秋だ。
師匠のたかに頼まれていた着物の洗い張りと仕立て直しが出来たので袖に渡そうとすると、「もう仕立てあがったの、じゃあ夕べも夜なべして? あんたろくに寝てないんじゃないの?」と驚かれる。
「一生懸命縫ったんだから自分で持ってお行きよ」と袖は言うが、たかのお世話係は袖であるので、あくまで袖に託すおしん。
ついでに食材の買い物のツケを控えておいた帳面を一緒に渡してもらうよう頼むと、「これおしんちゃんが?」と袖はまた驚く。
(※洗い張り=着物の洗い方で、縫い目を解いて反物の状態に戻して洗い、伸子(しんし)などの道具に張ってのりをつけ乾かすこと)
「これ、3晩で仕上げたんですよ。びっくりしました」袖がたかへ着物を見せている。
そして帳面も見せる。「おしんちゃん字が書けるんですよ」
そこへおしんがお茶を持ってきたので、たかが部屋へ入るよう指示する。
学校へ行ったかどうか聞かれ、行っていないと答えると、お針や字をどこで習ったのか問われる。酒田の米問屋での奉公で、ここに来る直前までずっと奉公していたと答えると「どうして辞めたんだい?」と重ねて問われ、おしんはうつむいてしまう。
「ハハ、とがめてるんじゃないんだよ。お針の手も立つし、16やそこらでこんな立派な字も書けるんだ。料理も年季が入ってるようだし、花を生けたって作法にかなってる。何も今になって髪結の修行なぞしなくたって、他にいくらだって身を立てることあるじゃないか」
「今からではもう遅いど?」
「そうじゃないんだよ。あんたほどの娘が、どうしてこれからわざわざ苦労して髪結なんぞなる気になったのか、それがさ」
「死んだ姉ちゃんが」
「それは聞いたよ、けどねえ」
「私、どだなことしたって髪結になりたいんです」
「じゃあほんとに辛抱する気なんだね?」
「はい」
「まあ色々訳はあるだろうさ。それを聞こうとは思わないよ。やる気さえあればそれでいいんだから」
「何年かかったって、髪結で独り立ちできるようになりたいんでっす。誰も頼らねえで、男など当てにしないで生きていけれるように」
「あんた手先が器用だね。仕立て物見りゃわかるよ。それが見たくて縫ってもらったんだ」
「お師匠さん」
「この1月、おりつを立ててよく働いてくれた。あんたさえその気なら、うちにいてもいいよ。ただしものになるかならないかはあんたの心がけ次第だ。人に教えてもらうもんじゃない、自分で覚えるんだから。いいね」
「はい! ありがとうございまっす!」
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語り手:奈良岡朋子/おしん:田中裕子/たか:渡辺美佐子/豊:田中世津子/その:真野ゆうこ/袖:木瓜みらい/けい:島村美妃/夏:富沢美智江/りつ:名川忍/ふじ:泉ピン子/りき:渡辺富美子/庄治:吉岡祐一/作造:伊東四朗/圭:大橋吾郎/おしん:乙羽信子
<あらすじ>
おしんが入り口に花を生けていると、袖が起きてきた。花も買うと高いので、アザミやなでしこなど、日本堤という地区で摘んできたものである。もう秋だ。
師匠のたかに頼まれていた着物の洗い張りと仕立て直しが出来たので袖に渡そうとすると、「もう仕立てあがったの、じゃあ夕べも夜なべして? あんたろくに寝てないんじゃないの?」と驚かれる。
「一生懸命縫ったんだから自分で持ってお行きよ」と袖は言うが、たかのお世話係は袖であるので、あくまで袖に託すおしん。
ついでに食材の買い物のツケを控えておいた帳面を一緒に渡してもらうよう頼むと、「これおしんちゃんが?」と袖はまた驚く。
(※洗い張り=着物の洗い方で、縫い目を解いて反物の状態に戻して洗い、伸子(しんし)などの道具に張ってのりをつけ乾かすこと)
「これ、3晩で仕上げたんですよ。びっくりしました」袖がたかへ着物を見せている。
そして帳面も見せる。「おしんちゃん字が書けるんですよ」
そこへおしんがお茶を持ってきたので、たかが部屋へ入るよう指示する。
学校へ行ったかどうか聞かれ、行っていないと答えると、お針や字をどこで習ったのか問われる。酒田の米問屋での奉公で、ここに来る直前までずっと奉公していたと答えると「どうして辞めたんだい?」と重ねて問われ、おしんはうつむいてしまう。
「ハハ、とがめてるんじゃないんだよ。お針の手も立つし、16やそこらでこんな立派な字も書けるんだ。料理も年季が入ってるようだし、花を生けたって作法にかなってる。何も今になって髪結の修行なぞしなくたって、他にいくらだって身を立てることあるじゃないか」
「今からではもう遅いど?」
「そうじゃないんだよ。あんたほどの娘が、どうしてこれからわざわざ苦労して髪結なんぞなる気になったのか、それがさ」
「死んだ姉ちゃんが」
「それは聞いたよ、けどねえ」
「私、どだなことしたって髪結になりたいんです」
「じゃあほんとに辛抱する気なんだね?」
「はい」
「まあ色々訳はあるだろうさ。それを聞こうとは思わないよ。やる気さえあればそれでいいんだから」
「何年かかったって、髪結で独り立ちできるようになりたいんでっす。誰も頼らねえで、男など当てにしないで生きていけれるように」
「あんた手先が器用だね。仕立て物見りゃわかるよ。それが見たくて縫ってもらったんだ」
「お師匠さん」
「この1月、おりつを立ててよく働いてくれた。あんたさえその気なら、うちにいてもいいよ。ただしものになるかならないかはあんたの心がけ次第だ。人に教えてもらうもんじゃない、自分で覚えるんだから。いいね」
「はい! ありがとうございまっす!」
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